
茨城県指定有形文化財
旧土肥家住宅は、もとは新利根村(現茨城県稲敷市)にあり、江戸時代の前期と中期に建てられたとても古い民家で、主屋と隠居屋の2棟からなっています。この家は主屋です。
主屋は、構造的な特徴や部材調査から、隠居屋より古い西暦1600年代半ば頃に建てられたと考えられ、東日本では最も古い民家のひとつです。
2棟は左右対称のよく似た間取りとなっていますが、柱の間隔が異なり、面積は主屋の方が大きくなっています。



段葺き
屋根は、主屋・隠居屋ともに茅葺きで、茅や稲わら、篠竹など、違う材を幾重にも重ねる「段葺き」と呼ばれる美しい葺き方になっています。茅とは屋根を葺く草の総称で、ここではススキを使っています。



情報
- 茨城県指定有形文化財(建造物)
- 指定年月日:平成30年12月27日
- 建築年代:1600年代半ば頃
- 桁行7間(13.7メートル)
- 梁間4間半(9.7メートル)
- 延床面積:134平方メートル(40坪)
- 形式:直屋(すごや)
- 屋根:寄棟造茅葺き
ナンド(納戸)
家族の寝室や衣類の収納場所として使われていました。

ナンドの民具

長持ち(ながもち)
長持ちは、衣類や寝具の収納に使われた、上に開く蓋(ふた)が付いた長方形の木箱です。
長持ちの中でも、木箱の下に車輪を付けて移動の便をはかったものを車長持ちといいます。
箪笥(たんす)は引出しがあるため、長持ちのような木箱と比べると材料も加工する手間も倍以上かかりました。江戸時代の庶民は高価な箪笥を持つことができず、大切な物を収納する家具として、大型の長持ちがさかんに使われました。
ナカノマ(中の間)
正式な客を迎えるために使われました。



オモテ(表)
「ナカノマ」の前室として使われていました。

チャノマ(茶の間)
食事の場として使われていました。


チャノマの民具

せいろ
せいろは、食物を蒸すための器具です。
湯を沸かした釜などの上に重ねて置き、下からの蒸気で蒸します。
【茨城県歴史館蔵】

いちこ
いちこは、おひつを保温するためのものです。
釜で炊いたご飯は、おひつに移します。おひつは木でできているため、炊き立てのご飯から出る湯気(ゆげ)を吸い取り、おいしく保存しておくことができました。
寒い地方では、このおひつをさらに藁(わら)でできたいちこに入れて、保温しました。藁が断熱材(だんねつざい)の役目をしています。
【茨城県歴史館蔵】

お膳(ぜん)
お膳は、一人前の食器と食べ物を載せる台のことです。
移動しやすく、複数を組み合わせることで、卓として使うこともできます。
ザシキ(座敷)
団らんの場として使われていました。


ザシキの民具

囲炉裏(いろり)
囲炉裏は、床の一部を四角く切って火を焚けるようにした炉の一種です。
灰を敷きつめ、その上で炭や薪を燃やし、食べ物の煮炊きや部屋の暖房などに使います。
炉を囲む席は、土間から見て奥が家の主人用の「横座(よこざ)」など、席順が決まっていました。
ダイドコロ(台所)
土間のところは、屋内の作業場として使われていました。

ダイドコロの民具

石臼(いしうす)
石臼は、上下の石をすり合せて、もみ殻がついた状態の小麦やソバなどの穀物を粉砕するための道具です。

かまど
かまどは、穀物や食料品などを加熱調理するときに、火を囲うための調理設備です。