みはらしの里の古民家

旧土肥家住宅(隠居屋)

旧土肥家住宅(隠居屋)

茨城県指定有形文化財

旧土肥家住宅は、もとは新利根村(現茨城県稲敷市)にあり、江戸時代の前期と中期に建てられたとても古い民家で、主屋と隠居屋の2棟からなっています。この家は隠居屋です。
隠居屋からは「宝永3年」(西暦1706年)の墨書が発見され、建築年代が明らかになりました。
2棟は左右対称のよく似た間取りとなっていますが、柱の間隔が異なり、面積は隠居屋の方が小さくなっています。
隠居屋の屋根は「せがい」と呼ばれる軒天井があり、主屋より軒の出が大きく、高さもあります。

隠居屋の平面図

隠居屋の立面図

隠居屋のもとの所在地

天井・窓の造作

主屋には天井がなく、床はすべての部屋が板敷ですが、隠居屋は、「ザシキ」、「ヒロマ」、「ゲンカン」に天井が張られ、「ザシキ」は畳敷きで、床の間があります。また、主屋の建具は板戸ですが、隠居屋は一部に障子が入っています。開口部が多く、開放的になっています。
主屋・隠居屋とも、南側に2間分の格子窓がありますが、これは「シシ窓」と呼ばれており、古い民家の特徴となっています。

隠居屋のせがい

せがい

隠居屋の天井

天井

隠居屋の障子

障子

隠居屋のシシ窓

シシ窓

情報

  • 茨城県指定有形文化財(建造物)
  • 指定年月日:平成30年12月27日
  • 建築年代:1706年(宝永3年)
  • 桁行7間(13.6メートル)
  • 梁間4間半(8.6メートル)
  • 延床面積:117平方メートル(35坪)
  • 形式:直屋(すごや)
  • 屋根:寄棟造茅葺き

ザシキ(座敷)

正式な客を迎えるために使われました。

隠居屋の座敷

ザシキの民具

隠居屋の座敷の民具(床の間)

床の間(とこのま)

床の間は、畳の部屋に作られる座敷飾りの一つです。
客間に作られ、床柱(とこばしら)、床框(とこかまち)などでできています。掛け軸(かけじく)や生け花(いけばな)などを飾る場所です。

ヘヤ(部屋)

家族の寝室や衣類の収納場所として使われていました。

隠居屋の部屋

ゲンカン(玄関)

冠婚葬祭の時などの出入りに使われていました。

隠居屋の玄関

オカッテ(御勝手)

煮炊きや食事の場として使われていました。

隠居屋の御勝手01

隠居屋の御勝手02

オカッテの民具

隠居屋の御勝手の囲炉裏

囲炉裏(いろり)

囲炉裏は、床の一部を四角く切って火を焚けるようにした炉の一種です。
灰を敷きつめ、その上で炭や薪を燃やし、食べ物の煮炊きや部屋の暖房などに使います。
炉を囲む席は、土間から見て奥が家の主人用の「横座(よこざ)」など、席順が決まっていました。

隠居屋の御勝手の自在カギ

自在(じざい)カギ

自在カギは、囲炉裏の火で煮炊きするために、鍋(なべ)や釜(かま)をかける道具です。
囲炉裏の上の梁からつり下げて、上げ下げや回転を自在にすることができる仕掛けが工夫されていることから、自在カギといわれています。
棒を固定する横木(よこぎ)は、木片に穴をあけただけのものから、タイやフナなど魚をかたどったものや、扇、ひょうたんなどの装飾の施されたものまであります。いずれも縁起(えんぎ)のよいものです。

ヒロマ(広間)

日常的な来客や村人の集まりに使われていました。

隠居屋の広間

ダイドコロ(台所)

土間のところは、屋内の作業場として使われていました。

隠居屋の台所

ダイドコロの民具

隠居屋の台所のかまど

かまど

かまどは、穀物や食料品などを加熱調理するときに、火を囲うための調理設備です。