
大子町の「藤田観光りんご園」は、奥久慈の山々に囲まれた、のどかなりんご園です。山裾に広がる畑で、旬のりんご狩りが楽しめます。
栽培しているりんごの品種は50種類以上。通年営業のカフェスペースもあり、農園特製のアップルパイも有名です。
同園の藤田史子さんは、「園に来て、りんごをもっと好きになってもらえたらうれしい」と話します。
大子のりんごは「樹上完熟」が特徴 りんご狩りは10月から
りんごというと、青森県や長野県産が有名ですが、大子町も古くからの産地です。
大子町のりんごの多くは、「樹上完熟」という方法で栽培されており、木になった状態で完熟させて、甘さが最大になったところを見極めて収穫します。市場にはあまり出回らない、ここでしか味わえない貴重な味です。
藤田観光りんご園でりんご狩りが楽しめるのは10月から12月初めまでです。「紅玉」「秋映」「シナノスイート」などが次々に実り、りんごの王様「ふじ」は11月に収穫期を迎えます。大子町のオリジナル品種「奥久慈 宝紅」の旬は10月中旬から下旬です。
史子さんの夫で、農園3代目の卓さんが、大事に育てています。
史子さんは、「りんごの食べ比べを楽しみたいなら、10月の来園がおすすめ」と言います。10月は収穫期を迎える品種が多いそうです。
「自分好みのりんごを見つけるのも楽しいですよ」と史子さん。

夏のりんご園で、藤田史子さん

真っ赤な看板が目印

色づいたりんご園
りんご愛が詰まった 農園特製手作りアップルパイ
アップルパイは、園内のカフェや大子町の道の駅、通信販売でも購入可能で、全国から注文があります。発売は2006年、史子さんが考案しました。
驚くのが、リンゴの大きさと量です。パイ1ホールあたり2個半から4個半ものりんごがぎっしりと詰まっています。パイというより、りんごを食べている感覚です。
「りんご農家だからこそ作れるアップルパイにこだわって、試行錯誤しました」と、史子さん。
りんごの品種は、「ふじ」や「紅玉」など時期によって違っていて、品種を混ぜないこともこだわりです。品種ごとに、砂糖の分量を変えるなど、素材の味を最大限に生かした味付けにしているそうです。
幼い頃からりんごが大好物だった史子さん。パイには史子さんのりんご愛も詰まっています。

大ぶりにカットされたりんごがぎっしり

サクサクのパイは、網目も美しい
カフェは通年営業秋だけじゃない魅力も知ってほしい
園内のカフェ「Favorite Things(フェイバリットシングス)」は、りんご畑の脇の倉庫だった建物の2階を改装したスペース。窓越しに、りんご畑を眺めながら一息つけます。

カフェの店内。窓からはりんご園が見える
秋の収穫シーズンだけでなく、農園の四季の魅力にふれてほしいとの思いから、3年前にカフェを開設しました。
おすすめの季節は、春のりんごの花の開花時期。白やピンク色の花たちが畑一面に咲き誇る様子は、「ぜひ一度見てほしい、絶景です」と、史子さんは話します。開花は、4月下旬から5月上旬にかけての短い期間。実をつける花以外は摘み取るため、満開の様子は数日のみの貴重な景色でもあります。
販売コーナーには、アップルパイ以外のりんご加工品や、お酒類も充実。ビール「アップルラガー」「アップルパイラガー」、りんごのスパークリングワイン、ジン、ブランデーなどがあります。

春にはりんごの花が開花して、園内が華やぐ

緑豊かな藤田観光りんご園

種類豊富にそろうりんごのお酒
インフォメーション
藤田観光りんご園
- 住所
茨城県大子町浅川400 - 電話番号
0295-72-5028 - りんご狩り
今年は10月1日から。りんご試食料大人400円、子ども200円。持ち帰りは1キロ700円。りんごのみの購入も可能。 - アップルパイ
ハーフサイズ1800円、1ホール3500円。りんご狩りのシーズン中の購入は、事前の予約を。カフェでは、アップルパイと飲み物のセット「アップルパイセット」(1200円)が食べられる。